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「21世紀の資本論」さあ日本でも格差拡大を議論する時期が来た

ウォール街を選挙せよ

 世界の経済学者をけんけんがくがくの議論に巻き込んだ、1冊の本がこの冬、日本でも発売されました。そう。「21世紀の資本論」トマ・ピケティ著。FRB議長ローレンス・サマーズがその主張に同意し、あの経済学者ポール・クルーグマンが大絶賛した1冊。

英訳書で700ページにも及ぶこの書では「資本家と労働者はこれからますます貧富の差が拡大する」と宣言しています。アメリカで富裕層1%が富の割を占めている、として「ウォール街を占拠せよ!」と残り99%の人々がデモを実行したことも記憶に新しいところ。

21世紀の資本

21世紀の資本

 

この本の言及は去年英訳書がでた頃から本格的となり、日本でもついに発売されました。Amazon経済学書ランキングでは第1位。連日のテレビ報道や来日が話題になっています。この本を下敷きに日本でも格差論が拡大するのは間違いなし。この本、何がそんなにすごいのか。紹介していきます。

21世紀の資本論は単純な主張をしている

21世紀の資本論はページこそ多いですが、単純な主張をしています。

  • 貧富の拡大は、資本主義のシステムに内包されている
  • 10年に渡る資料をまとめた結果、以下の不等式が成り立つ

経済成長率<資本収益率

 これは乱暴に以下の式に変換できる 

賃金上昇率<株式投資収益率

そう。国民の賃金の上昇速度より、投資による収益のほうが常に高い。補足資料集サイトからどれくらいの差があるのか引用します。

21世紀の資本 図 10.9. 世界的な資本収益率と経済成長率の比較 古代から2100年
Graph via 21世紀の資本 図 10.9. 世界的な資本収益率と経済成長率の比較 古代から2100年

GDP上昇率=賃金上昇率ではないし、GDP上昇率と税引前資本収益率を直接比較することもできません。しかし、この2つの差が開けば開くほど、長ければ長いほど、資本家が富を占有していく事に変わりありません。例えるなら、労働者が国の経済成長のおこぼれで少しずつ給料を増やしているカメ。資本家は、国の経済成長の数倍のスピードで走る、疲れをしらないウサギです

トマ・ピケティの格差拡大に対する解決策は

このような格差拡大にピケティは「資本主義が要らぬ攻撃を受けないように」と前置きしつつ「世界中で強調して富裕層に累進課税をかけよう」と言っています。特定の国、例えば日本やアメリカが累進課税をかけても、今の富裕層はシンガポールや香港などに「資産フライト」してしまいます。だから世界の協調が必要だと説きます。しかし、そんな協調が今取れると思っていないということも言っています。

日本の格差論・貧困論はいま

日本でも格差論が話題になっています。しかしそれは他先進国と少し様子が違います。主なトピックは「アベノミクスで儲けた人」と「日本の貧困層」

最貧困女子 (幻冬舎新書)

最貧困女子 (幻冬舎新書)

 

どちらのトピックも格差拡大に関しては、なんだかひとごとに感じます。政権野党は「厚い中間層の復活」を唄って選挙を戦っていました。その裏で、ピケティは「中間層は消滅し、少数の金持ちと大量の貧乏人の時代がくる」と言っています。


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というわけで、ピケティは21世紀の資本論で

  • 資本家が労働者より効率的なのは過去200年のデータが証明している
  • 効率の差によりさらに富めるものは冨み、貧しいものはより貧しくなる
  • 富の再配分機能はグローバル化により機能していない
  • 日本人はまだ対岸の火事だと考えているが、中間層消滅は目前に迫っている
と、肌感覚で納得できる結論を膨大なデータを元に主張しています。戦争など世界的に富がリセットされる事がなければ、この流れは止まりません。

マルクスは19世紀に資本家と労働者の搾取の構造を暴きました。21世紀、ピケティは資本と経済成長の効率差によって、資本家が有利であることを明らかにしました。格差論・資本論と聞くと共産主義的だと、毛嫌いする人がいます。それは間違っていると断言できます。どちらの側にいるにせよ、知っておくことで、これからどう行動すべきか、考えの助けとなります

21世紀の資本

21世紀の資本

 

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トマ・ピケティ『21世紀の資本論』を30分で理解する!―週刊東洋経済eビジネス新書No.76

トマ・ピケティ『21世紀の資本論』を30分で理解する!―週刊東洋経済eビジネス新書No.76

  • 作者: 週刊東洋経済編集部,池田信夫/平松さわみ,西村豪太,長谷川隆,新藤真実,宮澤由美,川崎聡,筒井幹雄,小林由衣
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