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生涯賃金2.5億円 サラリーマン収入がホントか計算した

誰が言ったか知らないが、言われてみれば確かによく聞く。サラリーマン生涯賃金2.5億円。10年前まで3.5億円?

どちらにせよ20歳代はもう「マジかよ」「無理ゲー」と信じてないようですが、30-40歳代の人は「俺達はセーフじゃね?」と思っているかもしれません。私も怪しいとは思いながらもよく知らなかったので、調べてみました。

残念ながら多くの40代は目減り30代は、直撃、20代は…です。

2.5億円の根拠を確認する

それでは、以下のサラリーマン例で生涯給与を算出します。平均給与は 主要職種別平均年齢,勤続年数,実労働時間数と月間給与額 を利用。平成24年度のデータです。(記事末リンクあり)

  • 男性・大学卒・正規雇用
  • 製造業、管理・事務・技術職
  • 23歳-65歳で定年の42年間勤務

とし、年代別給与x12にボーナス夏冬あわせて4ヶ月として計算する。61歳以降データがなかったので、別ソースから補いました。

すると2億9,700万円となりました。退職金は別。金融・保険業だと3.5億を超え、サービス業だと2億半ば。なるほど2.5億は信ぴょう性があります。データの一部を紹介すると

30歳……年収570万
38歳……年収650万
46歳……年収850万
54歳……年収910万

このような数値。あなたがこの待遇に近いなら少し安心です。

嘘その1 男性平均で見るととても低い

先ほどの数値は大企業で出世が順調であった場合です。ここで別のデータ、男性全体の平均を見てみます(非正規社員含む)。国税庁 平成25年分 民間給与実態統計調査を利用します。

30歳……年収450万
38歳……年収510万
46歳……年収640万
54歳……年収670万

合計2.2億と出ました。これもやはり平均値で、中央値=一般的な人の給与 ではないので、おまけされていると見て良いでしょう。

中央値で計算すると、実に25%もマイナスの乖離があります。38歳で年収約380万。おまけどころではないですね。

嘘その2 今の給与テーブル=将来の貴方の給与ではない

ここまで調べたデータは、貴方が将来受け取れる給与ではありません。今現在○○歳に支払われている給与です。

あなたが年をとったとき、実際いくらもらえるのか? ある程度分かる指標があります。

賃金カーブ、年齢毎の給与を曲線グラフにしたものです。まずは過去のものを見てみましょう。

厚生労働省 平成23年版 労働経済の分析 標準労働者(継続勤務者)の賃金カーブ
引用: 厚生労働省 平成23年版 労働経済の分析より

20-24歳の給与を100としたとき、年齢によって給与はどれくらい変わるか。5年毎の集計で、明らかに下降している事がわかります(61歳以降は定年制の変更に伴う集計変化なので無視して良い)。

定年まで右肩上がりだったのを50歳前半をピークに持ってきている。これは今いる従業員の給与を下げたわけではなく、中途者や、次の世代の給与を引き上げない事によって、カーブを変えてきています。

続いて同資料から、他国の状況を確認します。同資料にも一部あるのですが、ヨーロッパの一部だけだったので、別資料からもってきました。

日本銀行調査統計局 正社員の企業間移動と賃金カーブに関する事実と考察 賃金カーブの国際比較
引用: 日本銀行調査統計局 正社員の企業間移動と賃金カーブに関する事実と考察

30-39歳だけ抜き出してるのでちょっとわかりづらいのですが、雇用が流動的な国においては、給与の頂点を40代に持ってきています。これは日本でも同じ流れをたどっています。大事なのでもう1度言います。今後、40歳代を境に昇給が無い人が普通になってきます。次に未来を見てみましょう。

厚生労働省 平成23年版 労働経済の分析 実質賃金のコーホート変化
引用: 厚生労働省 平成23年版 労働経済の分析より

生まれた世代別の賃金の伸び。これは衝撃的です。今の若者が「無理ゲー」と肌で感じている理由がここにあります。

年々賃金カーブの山は小さくなっている事の証左に、賃金の伸びはどんどん弱く。試しに、最後の成長軌道をそのまま描けたとおまけして、どれくらい差がつくのか、線を足してみます。

前述の賃金カーブ推移を見れば、それがないことはわかると思いますが…


この国のサラリーマンに何が起こっているのか

衝撃的な内容でした。一億総ビンボー時代に見えそうですが、実は違います。大手企業は今後

「給与下げるよ」

とは言っておらず

「正規社員の給与は維持または増加。年功から職能に給与振りなおしたり、定年延長によりバランス取りはするけど」


と言っています。??? 今まで見てきた内容と違うじゃないか。いえ、違いません。じゃあ割を食うのは誰か

  • 大手で出世できない人
  • 中小企業のホワイトカラー
  • 非正規雇用者

正社員の管理職や技術職の特権階級のみが、今と同じ・もしくはそれを上回る給与を得ます。外れた人は、賃金低下分を引き受けます。

ここ10年「年功序列を廃止し、実力主義に」といった流れが続いてきました。結果、何割かの人は給与を維持したものの、それ以外の人は稼ぎを減らしました。

ここで減ったのは、当人というよりも、次の世代の給与体系に反映されていると考えたほうが実情に近い

また「中小企業ホワイトカラー」はなんとなく、大手と同じように2.5億貰えそうなイメージですが、まったくの幻想です。

今現在の統計で1億-2億あたりが生涯給与の相場です。


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ひとことで、この話をまとめると「2.5億は本当だけど、大手サラリーマンが特権階級化するので、一般的ではない」です。

これからも多くの企業は正規雇用者の待遇を維持するかわりに、正規枠(管理・技術)職採用を減らし続けます。

その結果、2.5億の生涯年収はごく一部の特権的な人のみが享受することができるのです。

新卒採用の数はそれほど変わらないかもしれません。しかし、中途採用市場で、非エリートのオッサン・オバサンおもいっきり買い叩かれます。

貴方が身を粉にして尽くすその企業、本当に見返りを用意してくれているのか。もう1度真剣に考えてみましょう。また、転職を考える人は本当に今と同額で自分を市場が買ってくれるのか、転職エージェントに相談してみましょう。

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