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失業給付と生活保護受給に見る感情差

大阪の橋下市長が、生活保護費をプリペイドカードで支給するとして、話題になりました。年末になると困窮した生活、に関する話題が増えます。

生活保護に関しては、様々な意見があります。セーフティネットとしての必要性は理解されている一方、不正受給に関する憤りが多くあります。受給金額は国民年金月額より多く、フルタイムフリーターの月収よりも高い。こんな不公平が許されていいのか。しかし、同じ国民を保護する制度は必要だ。賛否両論あるかと思います。

ところで、私は低所得&低学歴の世界に育ったので、生活に困っている人と交友があります。

例えば、ある知人女性。彼女は27歳になりますが、性同一性障害といくつかの精神疾患を持ち、精神障害者手帳を交付されています。彼女の症状の1つとして、ストレスが一定に達するとパニックを起こすというものがあります。仕事・私生活どちらのストレスでも起こります。

彼女はよく、職場でパニックに陥り、ところかまわず絶叫してしまうそうです。時として、破壊衝動を伴うそうです。そのためすぐ仕事をクビになり、労働によって得た賃金で生活する事が困難な状態にあります。

ただ、彼女はミュージシャンで、日中はギターと共に過ごし、何ヶ月かに1度、アマチュアミュージシャンとしてステージに立っています。食費を浮かしてタバコも吸います。

この話を聞くと、憤りを感じる人が多いかもしれません。税金で食わせてもらって音楽なんて何事だと。でも彼女は実際に仕事をしても1週間でクビになるので生きていく事が出来ません。音楽とは関係ない仕事の分野で、事実として働けない。


もう1つの例を紹介します。こんどは生活保護を受けていない人の話です。

彼は34歳で放浪癖があり、1-2年派遣の仕事をした後、同じくらいの期間を貯金を食いつぶしながら遊んでくらします。自己都合で退職すると、ハローワークに通い、失業給付を受けます。これがあると無いのでは半年から1年遊んでくらせる期間が変わってくるのだそうです。

失業給付は、雇用者であった期間1,000円強毎月負担します。職を失った際、再就職するまでの期間を安定して生活できるように、現役時のおよそ6割のお金がもらえる制度です。しかし、彼は端から働く気がありません。

リタイアした人、結婚を期に仕事をやめた人、多くの人が気軽に失業給付を受けます。働く気が元からないのに認定日にハローワークに並び、認定を受けます。

倫理的にいえば、あきらかに後者が悪質だと私は思います。前者は実際に生活に困窮しています。一方後者は、あたかも労働者の権利かのように、生活の安定、労働の意志とはかかわらず給付金を受け取っています。何故前者は人々から反発され、後者は日常のように行われているのでしょうか。


私が思うに、1つは、生活を保護する事以外に使われる可能性があるためではないでしょうか。タバコや、パチンコなど娯楽に。これに関しては前述の橋下市長の手段や、米国のフードクーポンが今のところの解決策でしょうか。

もう1つは、国民1人1人の生活保護の負担額が見えない事にあると思います。働いている人の税金で食わしてやっている印象。これの解決策として、例えば「生活保護保険」という制度にして、月数千円程度全国民が負担、未成年の場合は親が負担する。もしくは社会保険料を財源とする。こういう制度にすれば、雇用保険と同じように多くの国民が大手を振って給付を受けると思います。

最後にもう1つの反発要因として「半永久的に働かなくても生きていける」事に対する不公平感だと思います。日本が社会主義国の証であるように、勤労の義務が憲法に記されています。これは世界的に珍しい事です。また、儒学・朱子学から由来する倫理観からくるものもあると思われます。しかし、実のところ働かなくても生きている給付金制度は日本に多くあります。障害・災害・犯罪被害。こちらは労働の可能性を顧みず給付され、それが理解される風潮があります。

ようするに「悲惨でないから許容できない」という発想ではないでしょうか。

であれば、いっそ「生活保護制度」という表現をやめて「労働不能孤立者 保護支援制度」などに変えたらいいと私は考えています。

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