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債券投資が難しいので解説まとめ2014年-2015年

投資

債券投資、難しいですよね。投資の必須知識なのに。なんでも投資銀行の債券部門はかなりのエリートでないと勤まらないとか。そりゃ簡単にわかるわけない。私も難しすぎてほとんど手が出せてません。というわけで、個人投資家が考える難しい部分。Q&A形式で解説を共有します。

  1. 金利は何で構成されてるの?
  2. 金利が上がると債券の価格が下がる?
  3. SBI社債2%ってすごく割が良くない?
  4. 生債券って? ゼロクーポン債って?
  5. なぜ日本個人向け国債変動10年はみんなが薦めるの?
  6. 資産ポートフォリオで外債がいらないと言われてる理由は?
  7. 日本(自国)の国債のリスクがゼロってどういうこと?
  8. 格付けが下がっても日本の国債金利が下がり続ける(人気な)理由は?

SBI社債の話とかちょっとマニアックかもしれません。以上でお届けします。

国債の金利は何で構成されてるの?

金利は「リスクに対する見返り」と「今後のインフレ率(予測)」で出来ています。

金利の内訳

「リスクに対する見返り」のリスクとは

  • お金が帰ってこない、または約束した金利が払われない(デフォルト)
  • もう1度債券を現金に戻すまでにかかる時間や手間(流動性低下)

に対するものだといわれています。わかりやすい例として過去10年のアメリカ長期金利データをみて見ます。米財務省のデータに基づいています

米長期金利推移2004年から2014年
Source via U.S. Department of the Treasury

インフレ分を除いた金利に注目します。上下していますが1%を上回る程度が「リスクに対する見返り」と言って良いでしょう。

この原則を下敷きに、債券の人気で金利が決定されます。人気は市場で流通している発行済みの債券の価格が参考にされます。…えっ? 日銀は関係ないの? そう、日本銀行は直接金利価格を決定したりはしません。そのかわり、巨大なプレイヤーとして、他のプレイヤー(銀行)が売り出している国債を同じく市場で売買します。日銀は自分で日本銀行券を刷って、市場で国債を売り買いします。また他の銀行にお金を貸し付けます。その量を操作することで、金利を誘導します。悪く言えば、歪めます。

それはともかく。我々はいくら儲かるのかに注目すべく、グラフに目を戻します。リスクに対する見返り分の金利が、実質の儲けになるわけです。しかし、2008年のリーマン・ショック以降、国債のリスクに対する見返りは年々小さくなっていることがグラフからもみてとれます。

金利が上がると債券の価格が下がる?

債券投資するにあたって、一番疑問となる点です。「金利が上がると債券価格が下がる、債券価格が上がると金利が下がる」 なんのこっちゃ。これは国債というものが、金利を生むために我々を混乱させます。お馴染みの銀行の定期預金と同じに見えるのです。しかし、そのイメージから離れるのは難しい。ならばそのまま考えてみましょう。

前述したとおり、国債は日々市場で売り買いされています。国債と定期預金を同じだと考えるなら、定期預金の通帳をハンコと一緒にブックオフに売りに行ったと思えばいいでしょう。例えば

100万円の額面でちょうど1年後に金利年1%で償還

だとすればこの通帳、いくらで買い取ってくれるでしょうか?

100万円+1万円(1年間の金利)

…101万円以下で買い取りだな、とブックオフは考える。手数料もほしい。しかしもブックオフは商売の達人です。さらに安く買い取りしようと、カウンターの前にいる貴方に背を向けて、なにやらお店の端末を叩き出します。国債の最新金利を確認するのです。もちろん貴方が国債を買った後も、日本は定期的に国債を追加発行しているのです。

あなたが、買い取りを申し出た時、アベノミクスが大成功していました。インフレが始まっています。新しい国債の金利はインフレ予測を考慮した利率で発行されるでしょう。たとえば1%プラスして、年率2%

100万円の額面でちょうど1年後に金利年2%で償還

となると、1年後には102万円になります。100万円で1年後に102万円になって帰ってくる国債が目の前で発行されているのに、101万円で貯金通帳をブックオフは買いません。現在の金利差1万円を差し引いた、100万円以下でしか買い取ってくれないのです。

というわけで「途中で国債を手放そうとすると額面以下でしか売れない」という状況が起こります。途中で手放さなければ額面割れは起こりません。かといって、持ち続ける事が得でもないわけですが…(99万円で売って新たに100万円の国債を買っても金利差で同じ額になる)

SBI社債2%ってすごく割が良くない?

個人にとても人気のSBI社債。SBI社債の発行例としては、年率2.15%の金利で、期間が3年。この低金利時代に夢のような話です。まずは一旦置いといて、国債の価格はどう決まるんだったでしょうか

リスク + インフレ率 + 市場の人気

でした。では、SBIという会社が出している債券、社債はどうやって金利がきまるのでしょうか?

日本国債の金利 + 会社が発行する債券としてのリスク + 債券(会社)の人気

SBIの場合は、リスクが金利を押し上げる要因なので緑としてみました。逆に応募が多いため、人気は緑としました。まずは、どれくらいリスクがあるのか。これは債券格付け(BBB)から簡単に推し量れます。

長期債の格付け定義
Image via 日本証券業協会 - 債券の格付け


Image via R&I - 日本企業のデフォルト率・格付推移行列

格付けをしたR&Iから出ている最新データによると、最長のデータで見たところ、BBBは3年倒産確率が0.54%。過去5年で1%を超える。1%以下くらいの確率でしょうか?金利が高いのもうなずける倒産率です。続いて、人気によって金利が抑えられているか見てみましょう。国内のBBB格3年満期のものです。

銘柄 格付 償還期日 利率(%) 単価(円) 複利利回り(%) 単利利回り(%)
近畿日本鉄道 第80回 BBB 2017/04/20 0.700 100.91 0.311 0.309
光通信 第10回 BBB 2016/07/29 1.940 100.41 1.683 1.681
アコム 第63回 BBB 2017/06/07 0.990 101.68 0.310 0.307
日本板硝子 第12回 BB+ 2016/07/28 1.220 99.14 1.759 1.769
シャープ 第25回 BBB- 2016/09/16 1.141 98.73 1.877 1.882
Data via 日本証券業協会 - 公社債店頭売買参考統計値関係 - 売買参考統計値2014年12月15日

エアバックリコール問題で揺れるタカタは

銘柄 格付 償還期日 利率(%) 単価(円) 複利利回り(%) 単利利回り(%)
タカタ 第1回 A- 2017/12/15 1.021 89.14 4.951 5.194

でした。このデータから分かることは何でしょうか。もちろん「格付けが全てではない」です。そこでSBI債の利率が高い理由を考えてみましょう

  • 自社で販売できるので管理費を安く抑えれる
  • 中途売却先がSBI証券になるので途中売却すると大損=途中解約実質不可。
  • 劣後債だから(デフォルトするとお金がほぼ帰ってこない)から
  • SBI証券限定販売の、客寄せお買い得商品

抽選、しかもそれなりの競争率と聞くSBI債。人気により金利低下圧力がかかっているはずですが、それでもこの高金利。表に出ている条件を比較すると、とても良い商品です。特に他の債券でリスクをコントロールできる人にとっては悪くない選択肢です。

ただ、格付けが全てではないし、BBBという投資適格は投資適格ギリギリです。他の金利よりSBIが高いということは、銀行はBBBより下に判定している可能性があります。また、ソフトバンクのようにジャンク債とBBBを行ったり来たりする可能性がある格付けです。ここは慎重にリスクを判断しましょう。

生債券って? ゼロクーポン債って?

個人投資家の間では、米国債を始めとした海外国債を直接購入する際に「生債券」と呼びます。本来は「ファンドやETFなど間接的ではない債券の購入」くらいの意味だと思います。

ゼロクーポン債は「毎年金利の支払いはないけどその分割引されている債券です。前出の例で言えば「元の額面は90万円。1年後に101万円で引き出される貯金通帳とハンコ、いくらで買う?」という債券です。

ゼロクーポン債

といった形であらかじめ金利分を割り引いて発行され、債券市場に出回ります。何故このような債券が存在するのか。この債券には2つのメリットがあります。

  • 金利分が割り引かれた価格なので、初回の購入金額が抑えられる
  • 金利の支払いが無いため、税金が償還まで発生しない(金利分の税金一部が節約できる)

税制に関しては2016年に税制の変更が予定されているのでここでの言及を控えます。また、ゼロクーポン債も償還前に時価で市場で売却することができます。

なぜ日本個人向け国債変動10年はみんなが薦めるの?

現在日本で販売されている「個人向け国債変動10年」という国債は、上記の額面割れによる損が起こらない、特例が設けられています。日本国債のサイトから引用します。

つまり、市場価格は無視して「過去の金利1年分のペナルティ」を払えば元本=買った額面で買い取ってくれるという裏道を用意しています。それ以上さかのぼって受け取った金利はそのまま懐に入れたままでOK。

さらに「毎年金利を市場価格に合わせて変動」させるから、これから金利が上がっても損しない。という2つのリスク可能性を予め取り払って購入者を保護しています。だから、金利がとても低くても投資評論家が満場一致で購入を薦めているわけです。

Image via 財務省 - 変動10年 商品概要

資産ポートフォリオで外債がいらないと言われてる理由は?

著名な経済評論家 山崎元氏が「外債不要論」として広めたものかと思います。色々な説明がありますが、要するに「日本も外国も債券リターンは同じになる」というのが理由。以下が論拠となります。

名目・実質金利イメージ インフレと通貨安
  • 金利の差はデフォルトリスク+インフレだから、利益=リスク。すなわちインフレを除いた部分。結果どの国の債券もリスク・リターンが釣り合う。平均実質金利1%。どこを買っても同じ
  • インフレ差は為替の変動で帳消しになるのでインフレ差は意味ない
  • 中央銀行による実質金利の介入は、目ざとい投資家によって債券・為替裁定取引が行われるため、打ち消される

以上の理由から、どの国の国債も似たようなもの。だったらわかりやすく、日本国債で運用しようよ。という提案です。

ここに関しては私も判断を保留中。1番上はともかく。2つ目、これはは短・中期で為替がそんな動きをしないし、長期・超長期に関しては金利の動きのほうが早くて追いついてない。3つ目に関しては現在の中央銀行の政策を見る限り、中央銀行の圧勝のように私には見えます。そもそもこれだけ動きが早い金融の世界で、超長期で裁定取引が起こるという概念が私には理解できませんでした。

日本(自国)の国債のリスクがゼロってどういうこと?

日本の国債は円で発行されています。つまり、円を用意できればOK。円を刷るところといえば、日銀ですね。ちょちょいと政府が法律をいじって、日銀が円を刷って政府に回す。それで払えます。いくらインフレになるか、それはもちろん知らないけど。だから細かいことは置いといて、自国通貨建てのデフォルトリスクは0と考えよう。という論拠です。そして日本はすべて国債を円で発行しています。

外国のデフォルトで引き合いに出されるのは、自国の通貨以外で国債を発行した場合。例えば、ドル建ての日本国債を発行したとして、それを支払うには、日本政府がドルを金庫に用意しておく必要があります。足りない場合、日本円をドルに交換します。しかし、日銀が円を大量に刷ると、日本円がどんどん巷に溢れ、ドルと円の交換レートが安くなり、最後には誰も円を買ってくれなくなる=ドルを用意できない、という事態になります。そこまでの間に国内ではハイパーインフレが発生します。

新興国の多くは、その国の通貨が信頼されていないため、外国通貨で国債を発行する場合があります。またEU参加国など、自国通貨を刷る事ができない場合、こういうった事態が起こります。

日本国債のリスクは無いけど、インフレによる円安リスクがあるので、日本国債デフォルトを気にするならドルやユーロにしなきゃ意味がない、という事でした。日本沈没が近い未来に起こると思っている人は、預金も含め日本円以外で保有しましょう。

格付けが下がっても日本の国債金利が下がり続ける(人気)な理由は?

日本のS&P国債格付けが先日下がりました。ここまでの話で言えばリスクが大きくなったのだから、金利が上がるはず。しかし、長期国債金利は以下のように、大きな反応を示していません。

日本長期金利推移

そもそも金利が1%を割っています。金利の中身を分解します。インフレ部分は2014年日本をざっくり1%としましょう。プラスリスク分とするとあわせて2%の金利が必要なはずです。その部分の金利はどこへ消えたのでしょうか?もう1度国債の価格が決まる理由をおさらいします。

リスク + インフレ率 + 市場の人気

リスクは増えてるので、変数はもはや、市場の人気しか残っていません。人気がありすぎてリスク分の金利を削っているのです。誰からの人気? 個人や外国人?いえ、違います。日銀及び日本の銀行です。日銀が中心となって国債を買い、国債の人気を市場で演出しているわけです。格付けが下がっても、日銀や銀行が買う量が増えるだけ。こうして債券価格は維持されます。一節には日本の金利は-2%ほど押し下げられていると言われています。また、同様の手法は米国を始め世界各国でも行われています。金融抑圧策と呼ばれているものです。

金融抑圧下の名目金利イメージ


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最前線にいる人達ですら「理論としてはこうだけど…」程度の言い方しかできない現象が多い。また、理論を証明する方法が少ないため様々な説があります。今回の記事に関しても「それは違う」と言う声があると思います。指摘は勉強になるので大歓迎です。読者の皆さんに対しては「専門家でない私が調べた債券の話」と注釈しておきます。

というわけで、やっぱり難しい債券。個人はもう変動10年だけでいいのかもしれません。というわけで、私はこのあたりでお腹いっぱいになって、仕組み債やデリバティブまで調べれていません。また機会があったら調べようと思います。

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