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オンラインで単発の仕事をこなしながら好きに生きる「ギグ・エコノミー」について

夏あたりから「ギグ・エコノミー(Gig Economy)」という言葉をネット上で聞くようになって来た。

ギグ・エコノミーというのは、プロジェクト単位で企業とスタッフが契約して終わったらバイバイ、という働き方の事を指す。常用でも期間雇用でも無い、プロジェクト単位。フリーランスと同じだ。

働き方はフリーランスと同じ。大きな違いは「高度な専門家」たちがこぞってフリーランスを選択し、エコノミー(経済圏)と呼べるにふさわしい状況が起こりつつあることだ。

高度な専門家たちは、何故フリーランスを選び出したか

「ギグ」の語源から考えてみよう。

日本ではギグはライブやコンサートと同義語で使われてきた。ギグ・エコノミーの「ギグ」は、本来の意味である「1ステージあたりでギャラをもらう仕事」の意味だ。古きニューオリンズのジャズ演奏家や、パブでカントリーを演奏するバンドマンたちは、ステージ終わりにギャラをもらう「とっぱらい」スタイルだったわけだ。

単発の仕事で金を稼ぐ。それがギグ。

ちなみにフリーランスの「ランス」はお金で戦う兵士、傭兵が持っている槍から来ているそうだ。自由(フリー)な槍(ランス)。

そうやって、人々の働き方は少しずつ逆光しているらしい。しかも高度な専門家たちがそれを選択している。なるほど。ぼんやりとそれで生計が立ちそうな事はイメージできる。

もう少し詳しく、ギグ・エコノミーが起こった背景を考えみよう。

オンライン・ビジネス・マーケットプレイス

インターネット上で請負仕事を探せるサイトの登場は、ギグ・エコノミーの屋台骨といっていいかもしれない。日本ではランサーズ、英語圏ではElanceあたりが有名だろうか。フリーランスと企業を案件単位で直接つなぐサービスだ。

日本のビジネスマーケットプレイスはまだまだ売り手市場で、ギグエコノミーを支えるには心もとない。

ただ、ビジネスマーケットプレイスを通して、同じ言語圏であればポジションではなく、案件レベルでの難易度と報酬が体系化されてきつつある。市場が大きくなれば、勤め人と同じくらい収入が安定する日が来るかもしれない。

同じく、市場の深化によって難易度が高いが報酬が高い案件が増えてくる。今まで、高スキルすぎて正しく値付けされなかった仕事や、プロフェッショナルが他企業にコンタクトする手段が少ないために安値買いされていた仕事が。正しく市場に値付けされるようになる。これらは高度な専門家の収入をより大きなものにするだろう。

オンライン・オフィスツール

チャットツール、タスク管理ツールなどで遠隔地や在宅での仕事が随分容易になった。また働く側もそれを望む人々の割合が増えてきた。一部の業務は遠隔でも支障が無いことを多くの企業が実証している。

単純なオンラインツール以外にも、ブログ、Facebook、LinkedInなどといった、フリーランサーが実績をアピールできるツールが増えて来たことも影響しているように思う。ネットで誰もが成果を知る一部の人々は、ギグ・エコノミーを無理なく体現できるだろう。

技術・知識の高度化

先端的な技術や知識が、大きな商業的成功をもたらすと仮定してみよう。そうすれば技術や知識が高度になればなるほど、それを実現できる労働市場上の人数は減り、その報酬は大きくなる。

そういった人々は、期間を定めない棒給より、最大の専門性を発揮できる案件毎に、報酬を設定してもらったほうが稼ぎが大きくなるだろう。

つまり希少性が高い知識を有している人々は、ギグ・エコノミーを選択したほうが自分をより高く売れる事になる。今まではその報酬と仕事を正しく割り当てる事が出来なかったが、前述の2つで実現可能となったわけだ。

生活スタイルの多様化

物質主義が終焉して久しい21世紀のことだ。人生の大半を仕事に捧げる人ばかりではない。

私の知人でこんなやつがいる。33歳のアフリカ系米国人、独身仮名でボブとしておこう。システムエンジニアだ。彼は、日本にロングステイしている。彼は本国のプロジェクトを遠隔地でこなしつつ、毎晩大阪ミナミのクラブでパーリーピーポーやらドリンキングバディやらと日夜遊び倒している。ホテルに暮らしながら本当に働いているんだかどうかわからないくらい遊んでいる。

話を聞くと、だいたい3日働けば残りの4日は日本で遊んで暮らせるくらいの金になるらしい。米国システムエンジニアの収入はかなり高い。今思えば彼もギグ・エコノミーの一員のようだ。

ギグ・エコノミーよりも随分昔から季節を限定して労働するスタイルはあった。この潮流は彼らの復権と言えるかもしれない。


過去に当ブログで、21世紀のビジネスマンが求めるべき3指標と題して、プロフェッショナルは資本家にどんどん物を言うようになって、より理想に近い状態で仕事と私生活を両立できるようになるだろう、という話をした。まさにそれを地でやっている人々が増え始めたわけだ。

もちろん、ギグ・エコノミーにはフリーランスと同じ弱点がある。たとえば収入の不安定さ、年金や医療などの社会保障の弱さなと。組織力でしか成し得ない仕事もある。だから、手放しで誰もが求める姿では無いだろう。米国ほど日本ではプロフェッショナルの給与水準が伸びているわけでもない。

ただ、ロボットの進出やグローバル化で、どんどん単純労働者の居場所はなくなっているのは確かだろう。これから社会にでる若者は、今まで以上に自分の専門性を意識しないといけないかもしれない。

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