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出資・融資してもらうには自分の理念や企画より彼らの立場を知る事

はてなで出資の話が出ていたので、私の出資にまつわる意見をまとめておきます。

私のほうはベンチャーキャピタルからの出資や銀行からの融資に関する話です。大した経験もありませんが、VCから出資を受けた経験自体の絶対数が少ないと思うので、考え方の一つとして参考にしてください。考え方は

世界を見ずに担当者を見る

理念や企画のブラッシュアップより彼らの予算執行に着目する

もう1つ

彼らは基本的に不愉快なので安易に頼るべきではない

銀行・ベンチャーキャピタルから金を預かる流れ

出資・融資が行われる条件。彼らから金を預かる条件を、預ける側から端的に言えば「こいつは金を返す算段をつけそうだ。失敗するリスクより金利やキャピタルゲインのリターン、利益が高い」となります。そう思わせる準備をする必要が金を預かる側にはあります。

あなたの会社の出資・融資窓口担当者にそう思わせたら、あとは細かな調整をするだけです。担当者はその後、あなたが準備した書類を持って、社内・行内稟議を行います。金を預けて良いか、責任者が並んで承認するのです。無事、問題無いと判断されれば時間をおいて金が振り込まれます。

銀行向けには「過去のデータ」がものを言います。彼らの得られるリターンは、金利のみです。よって許容できるリスクがかなり小さなものになります。原則どう転ぶかわからないような会社に金を預けません。

零細工場の社長が、銀行マンの足にすがって、土下座して金を貸してくれと言うシーンをテレビドラマなどでよく見ます。現実には、銀行マンはそれを見た瞬間に融資しない事を決めるでしょう。なぜなら年間数万、数十万の金利によるリターンと、代表者が土下座をするような経営状況の会社のリスクはどう考えても釣り合いません。

よってあなたは、貸出先が数万数十万円のリターンに見合った小さなリスクしか会社に無いことを証明する事になります。

具体的には「過去のデータ」がものをいいます。過去業績が良かったから未来も良いであろう、という統計学的な発想です。過去数年の決算書が順調である、取引先と結んでいる契約書、設定可能な担保があるなど、過去のデータや具体的にリスクを下げる手段を用意する事で、彼らのリスクとリターンのバランスが釣り合い、取引が成立します。

このような状況が「晴れの日は傘を貸して、雨の日は傘を取り上げる」事態を生み出すわけです。

というわけで、銀行から金を引っ張るときは「自分の会社が○円○年貸し付けて、金利○円の粗利に見合ったリスクに収まる会社に見えるか」を意識しましょう。実際のリスクは無視して良いは1つのポイントです。外からそうみえれば大丈夫。

いっぽう、ベンチャーキャピタル向けには「未来のデータ」を用意します。出資を受ける側のステージ、M&AやIPOがどの程度現実的かで彼らの取れるリスクは異なりますが、一般的にイメージされるベンチャー投資。最初の数百万、数千万の話として話題を続けます。

彼らのリターンは株式上場。IPOに成功した場合、数十倍、時に数百倍になります。よって取れるリスクも相応して大きくなります。そのような著しい成長は、過去のデータがほとんど役に立たちません、よって彼らは可能性にベットします。言い換えれば「未来のデータ」を要求します。

未来のデータ。具体的にはどうやってお金を使って、どう成長するつもりなのか。どんな市場にどんな商品をいつ出すのか。可能性を感じるプロトタイプを見せられるか、どういう人に認められた技術で、経営陣はどういった顔ぶれでポテンシャルを秘めているかなどを説明する資料を用意します。

VCからの出資も銀行とそれほどステップは変わりません。担当者が増えるかもしれませんが、原則窓口となっている担当者の首を縦にふらせる事で話はトントンと前に進んでいきます。

彼らの取れるリスクは銀行と比較して大きなものです。1つの会社が失敗しても他の投資先が成功すればカバーできると考えています。よってブティックで買い物をするセレブのように、ハズレが混じっている事を、玉石混交を前提に多数の会社に出資します。市場にベットする、といった方が自然かもしれません。

どちらの勢力もオリジナルの計算式を持って、リスクとリターンの帳尻を合わせた結果、あなたにお金を預けます。

金を引っ張るには担当者・予算を突こう

前述したように、まず大事なポイントは担当者を落とす事です。担当者からGOが出て社内稟議ではね返される事はそう多くはないでしょう。ぶっちゃけ世界を見る必要はありません。担当者が落とせたらそれで十分です。

そもそも、銀行もVCも「予算」で動いています。今期中に何億貸したい、出資したい、という前提が彼らにはあります。往々にして予算は各担当者に分けられています。テレビドラマ半沢直樹を見た人は少し予算執行をイメージできるかもしれません。彼らも条件さえ整えば金を吐き出したいのです。

毎年予算があるだけ金が吐き出される。これはあなたの会社が市場で「ベスト」で無くても良いことを意味しています。ビジネスコンテストで賞を受賞したり、完璧な計算書を数年分、担保を用意する必要はありません。担当者に予算を執行させるだけの理由を、お膳立てするだけで十分です。

というわけで、お金を引っ張る際には闇雲に市場のベストを目指すのではなく、担当者に話を聞いて好みや懷事情を聞いておきましょう。体力は実務に温存しましょう。

また、1度首を横に触られたからといって諦める必要はまったくありません。予算を吐き出したい担当者、会社は他にもあるはずです。

不愉快な人の比率が高い業界なのでタイミングを選ぼう

私は銀行マンとVCを大変嫌っています。

それはスタンフォード監獄実験を彷彿とさせるほど、おしなべて居丈高な態度を取る人物の比率が高いからです。司法・行政含めどんな業界よりも居丈高の人が多く感じました。銀行よりVCのほうが傲慢で無礼な態度を取る人が多く感じます。逆に経営者のほうが平身低頭である場合が多く感じます。ビジネスの場での自然淘汰が理由なのでしょう。

資本の執行を代理している彼ら。私は彼らが戦略的に居丈高で、そうすることにメリットがあるのでは無いかと数日間真剣に考えた事がありますが、負のバイアスによる彼らのメリットは見いだせませんでした。それくらいに不用意に無礼な人が多い職種です。

「無礼である」という事はビジネス上の利益とはまったく関係無いので、これを意識下で殺すことで、他企業より有利にビジネスを進める事はできます。

同時に、自分でビジネスをする、ということは付き合う相手を自分で選べるということです。精神衛生を取るか、資本の増強を取るか。その辺りは自身のポリシーで判断してください。

彼らと上手く付き合うコツを上げます。

1つは「あなたの状況が良い時に話しかける」事です。金を借りる必要がない。出資が無くとも成長している。こういう時には彼らは礼節を持って接してきます。なにより、融資や出資というのは、取引です。あなたの状況が良いほうが良い条件を多く引き出せます。

もう1つは彼らが持っているコネクションやデータ、人脈や情報といってもいいでしょう。それを惜しげも無く利用する事です。

彼らは金を吐き出す時にはひどく慎重ですが、驚くことに金を吐き出した後、稟議が必要で無い事は手間がかかっても喜んで協力してくれます。勿論、リターン確率をより高めるために彼らは協力するわけですが、稟議が必要で無い時、彼らのコスト意識はさほど高くありません。

不愉快の代償に出来るだけコネクションやデータを初め使えるものは何でも引き出しましょう。無料で使える社外リソースというのは、悪いものではありません。

最後に。銀行からの融資はともかく、VCやエンジェルからの出資を受けることを一種のロマンのように考えている若者を見かけますが、あれは純粋な取引です。資本の拡大やIPOのような、華やかなな世界ばかり見ていると足元を救われます。そんな所に成功も幸福もありません。まずは独立独歩で日銭を稼げる零細企業を目指すことを私はおすすめします。

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