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投資手法を初心者向けに著名投資家を交じえ解説

初心者が投資に手を出す前の「投資をして利益を出す」イメージは、いったいどんなものだろうか。

「安い時に株や投資信託を買って、高い時に売れば良いんだろ?」
「これから円安になるらしいから、ドル預金しておけば安心なんだよね?」
「不動産=資産。余裕資金は資産に回して、そこから利益を得る」

といった、ニュース記事や雑誌で得たピンポイントな情報が、初心者の投資手法のイメージを作り出している事が多いように思う。

こういった、漠然としたイメージが元手、初心者が痛い目を見る事がある。だから当ブログでは初心者向けの投資入門本を選りすぐって紹介してきた。こちらの記事を読めば、先入観を取り除いてから投資入門が可能だ。

ただ、前述の投資本からの入門はとても保守的な投資手法である。世の中には様々な投資家がおり、もっとアグレッシブなものを含め、さまざまな投資手法がある

あなたが投資をすでにしている、これから始めるどちらにせよ、様々な投資手法のリスクとリターンを知って置くことは悪いことではない。

というわけで投資手法を初心者向けに紹介していく。並び順は、おおよそ上からハイリスク・ハイリターンとなっている。

投資手法は大別して2種類

投資手法は世界に数多ある。全てを紹介するのは難しいため、この記事では初心者向けに分類したうえで紹介している。テクニックの紹介というよりは、何を根拠に売り買いしているかで分類した。誤解を恐れず言えば、どの宗教を信じるかに似ている

分類をさらに大別すると以下の2つに大きく分ける事ができる。

  • 将来(株価)を予測できると信じている
  • 将来(株価)を予測できないと信じている

初心者の方は、後者の予測できないと信じている分類の事を意外と知らない。しかし、株価の予測をしなくても、できなくても投資を行う人々がおり、投資利益を上げている人々がいる。

まずは、わかりやすい予測できると信じている人たちの手法を見ていこう。合わせてその投資手法の人気本を紹介していく。

大別一 株価(将来)を予測する

1.チャートを読む

著名な投資家: チャールズ・ダウ 本間宗久
年間リターン: 数十〜数百% リスク:

株価の推移がひと目で分かる「チャート」というのをみなさんも一度は目にしたことがあるだろう。彼らは、上下する株価を日々記録して、その中から、上昇・下落パターン、法則を導き出し、投資を行う。例えば「株価の動きが山形を二回繰り返すと、株価は急落する」といった具合だ。

公開株式や先物相場は、日々激しく値動きする。彼らは、一ヶ月どころか日に何度も売買出来るため、年間をとおしてみると大きなリターンを得る事になる。

その分リスクも大きくなるので、初心者にとっては「手順がわかりやすい反面リスクが大きい」投資手法となる。

相場に勝つローソク足チャートの読み方

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ちゃんと儲けたい人のための株価チャート分析大全(増補版)

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2.相場のトレンド(流行)に従う

著名な投資家: ジェシー・リバモア B・N・F氏 CIS氏
年間リターン: 数十〜数百% リスク:

彼らもチャートを見るのだが、それ以上に、ほかの相場参加者に注意を払って売買を行っている。他の人々が買っていれば、彼らも買うし、逆もまたしかり。相場の流れにのって、売り買いを繰り返す。よって1のチャートを読む人々よりリアルタイム性が高い。

多くのデイトレーダーと呼ばれる人々はこのカテゴリに属する。ネットで著名なBNF氏やCIS氏はさらに、相場のトレンドと異なる動きをする例外を見つけ出し、先んじて売買を行うといった手法も交える。

細かな手法はともかく、もたらすリターンとリスクは1のチャートを読む人々と同じか、それ以上になる。

多くの初心者が彼らにあこがれ、そのほとんどが無残に散っていく。利益が大きくなる反面、リスク管理が難しい。難易度が非常に高い投資手法である。「相場師」の異名を受けるのも彼らだ。

伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術

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ゾーン ? 相場心理学入門

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3.経済の流れを読む

著名な投資家: ジョージ・ソロス ジム・ロジャーズ
年間リターン: 数十% リスク: ★★★★★

世界に名を轟かす伝説の投資家は、この投資手法を採用する事が多い。彼らはチャートをあまり見ない。見ない代わりに、独自に分析した経済動向に注意を払い、情報を先んじて仕入れ、未来を予測し、投資を行う。そういった資質から、先物と呼ばれる未来予測が左右する商品を売買する事も多い。

彼らは前述の2組よりは売買の頻度が低いため、リスクとリターンもある程度落ち着く。とはいえ凄まじい利益率ではある。

また、彼らの経済や市場の予測が功を奏し、大規模な市場のクラッシュを予期した際などに、彼らは大々的に、魔術師としてマスコミに取り上げられる。そうやって富に加えて大きな名声を得ることになるわけだ。

あなたに経済的な知識のバックグラウンドがあれば是非挑戦していただきたい手法である。しかし私には、そんなバックグラウンドを持った人が何故今ヘッジファンドに在籍せず、この記事を読んでいるかには疑問が残る。

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マーケットの魔術師 ? 米トップトレーダーが語る成功の秘訣

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4.ビジネスの将来や経営陣の人柄を読む

投資家: VCファンド、個人投資家
年間リターン: 数%〜数十% リスク: ★★★★☆

個別株の購入や、会社への出資などを行い、ビジネスの成功によって生み出される利益を得る手法。経済の行く末よりも、個別の会社の成長性に注意を払うところが、前述のジョージ・ソロスなどとは異なる。ファンドや個人投資家は様々な手法を採用するが、便宜上ここに分類させてもらった。

売買は早くて半年、一般的には年単位で行われる。「投資」という言葉らしい投資手法だ。

市場での売買となれば、個別株式や債券の売買、または同じジャンルのビジネスをしている会社に分散投資する、という形になる。市場外であれば、友人の会社への出資や、自信での会社創業。ベンチャーキャピタルなどの小さな会社専門に投資をして、将来の利益を上げるファンドがここに分類される。

独特の運営方針をかかげる日本の鎌倉投信はここに分類すべき投資信託だろう。

その読みが100%正しければ、抜群の効果を発揮する手法であるが、一般的には、複数のよさそうな企業に分散投資するのが一般的である。ベンチャーキャピタルなどは、投資と成功確率を綿密に計算して予算を設定している。

目利きに自身があれば採用すべき手法ではあるが、プロのファンドですら、投資先の失敗確率を電卓で叩いた上で分散投資をしている。

投資は「きれいごと」で成功する――「あたたかい金融」で日本一をとった鎌倉投信の非常識な投資のルール

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5.国策投資

(c)Game of Thrones/HBO

年間リターン: 数十% リスク: ★★★☆☆

国の方針を背景に投資を行う手法。実業であれば戦争需要などを背景にビジネスを展開したり、国に対する貸付を行う。中世の資産家や財閥の手法である。

個人にはあまり縁がないと思われるかもしれないが、アベノミクスなどの景気刺激策を背景に投資を行った人々は多い。経済ニュースに詳しければ、国が株価を下支えするといった要点が理解でき、投資の足がかりとなる。

ただし、国の政策とは言え100%見通し通りになると思ってはいけない。国がはしごを外す事はよくあるし、国が完全に経済をコントロールできた事例は、歴史上存在しないのだから。

新・日本経済入門

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大別二 株価(将来)を予測しない

ここからは、将来の動向を予測しない投資家の戦略である。分類は便宜上のものなので、予測しない=部分的に予測をあきらめている。学術的な背景を元に投資を行っている、くらいにとらえていただきたい。

6.バリュー投資

Warren Buffett Image via AFP BB News

著名な投資家: ベンジャミン・グレアム ウォーレン・バフェット
年間リターン: 数%〜数十% リスク: ★★☆☆☆

会社の価値や秘められた成長性を精査して、株価が割安だと思えば買う手法である。投資は数年〜数十年単位に及ぶ。4.ビジネスの将来や経営陣の人柄を読む をより長期スパンで考えた投資手法である。

日本の澤上篤人氏率いるさわかみファンドはバリュー投資ファンドとして有名だ。

バリュー投資は「割安株は長期的に見るといずれ正しい価格に戻る」という統計上の事実に根ざして投資を行っている。そのため、買った株が値下がりしても、手放すどころか買い増しを行う事も多い。

株価や経済を予測する人々が「魔術師」と表現される一方、バリュー投資家は「賢者」といった扱いをされる事が多い。

初心者に注意するとすれば「いずれ正しい価格に」の「いずれ」部分。いずれは10年スパンだと考えていただきたい。

賢明なる投資家 ? 割安株の見つけ方とバリュー投資を成功させる方法

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億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術

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7.小型株投資

年間リターン: 数% リスク: ★★☆☆☆

バリュー株と同じく、小型株(時価総額が小さい会社の株)も統計上、平均的な株式よりリターンが高くなる事が知られている。

そういった小型株を限定して所有し、長期間保有しながら値上がりを待つ投資手法だ。

ただし小型株=小さな会社、業績が低迷している会社なので、運が悪いとそのまま倒産してしまう。分散投資が必須の手法である。

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8.公開買い付け・敵対的買収

(c)2010 Gulliver's Travels/20Century Fox
年間リターン: 数十パーセント リスク: ★★★☆☆

風変わりであるが一応紹介。株式を大量に取得し「物言う株主」としてその会社をコントロールして利益を上げる投資手法。多くの場合、会社手持ちの現金を配当として吐き出させたり、事業の一部を他者に売却する事で短期的な利益を捻出する。または、強引な手法で会社を利益が出る体質にして、株式を他者に売却する。

およそ数ヶ月から数年で1つの案件をクロージングするのが通常だろう。

または、経営陣が自社の株式を買い取り、長期的視点で会社価値の上昇を目指す場合もある。

個人投資家で億単位の資金を投資出来る場合、ヘッジファンドに参加する機会があるが、一般的にはあまり縁が無いだろう。

V字回復を実現するハゲタカファンドの事業再生 (経営者新書)

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9.クオンツ・システムトレード

年間リターン: 数パーセント〜数百パーセント リスク: ★★★★☆

統計に基づいた投資手法。例えば「晴れの日が4日続いたら5日めは60%の確率で株価が上昇する」といった、占いのような株価との相関関係を、膨大な過去の情報から高度な数学理論に導き出し、それに準じて機械的に売買を繰り返す手法だ。その相関を導き出すのに、人工知能を用いる場合が多い。

1.チャートを読むと同じように感じるが、違いは

  1. データに基いている
  2. システムが自動で取引する(多くの場合)

点だろう。取引スパンは、そのルールにより異なるが、数日、数週間などの短期である場合が多い。

投資初心者として、この手法の採用を考えた場合、膨大なデータと人工知能の取り扱いに難がある。また、数万円で販売されているシステムトレードソフトを導入する場合、理論の正当性を確認する手段が無い。

手法自体の弱点は、本当に理論が正しいと近い将来誰かに真似されて利益が上がらなくなる点と、システムの予期しないトラブルで大きな損失をこうむる可能性がある点だろう。

ザ・クオンツ  世界経済を破壊した天才たち

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9.裁定取引 フラッシュトレード

年間リターン: 数パーセント〜数十パーセント リスク: ★☆☆☆☆

裁定取引は、例えば東京と大阪で同じリンゴが違う値段で売っていた場合、いずれ同じ値段になるので値段差が出来た一瞬を狙って差額を利益にする、といった手法だ。詳しくはwikipedia:裁定取引を読んでいただきたい。

とにかく儲かるとわかっている投資先に、誰よりも早く気づいて投資する手法だ。

フラッシュトレードはそれを機械的に超高速に行う手法だ。あなたの液晶画面に値が表示されるより先に、高速ネットワークを使って先手を売って売買し、利益を得る手法だ。

初心者としてはリスクが少なくて是非採用したい手段だが、このようなローリスクでリターンが得られる手法は、大規模ファンドが多額の資金を投じて行っている。我々が彼らからその利ざやをかすめる事は難しいだろう。

フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

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相場の上下は考えない「期待値」で考える株式トレード術 ──サヤ取り投資が儲かる理由 (Modern Alchemists Series No. 120)

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10.不動産投資・金利・配当・株主優待

年間リターン: 数パーセント リスク: ★★☆☆☆

資産価値の上下を当てにせず、そこから得られる確定した利益のみを狙う手法。総称してインカムゲインと呼ばれることもある。定期預金であれば金利だし、個別株式であれば、株主配当や株主優待、FXでは通貨の金利差を利用したスワップ金利といったものもある。

どれも年間で数パーセントの利益にしかならないが、ほぼ確実に得る事が出来る。世界の株式の平均的な配当は年間約2〜3%、金利は約1%(インフレ除く)と言われている。

個人の不動産投資だと10%利回りがあれば優秀といった話もある。ただしこちらは元手が大きくかかる。

売り買いのタイミングで損得が出る事は変わらないが、長期的に保有する事になるため、リスクがぐっと抑えられる。

初心者の投資として理解しやすく、かつリスクが抑えられる手法だろう。

サラリーマンでも「大家さん」になれる46の秘訣 (PHP文庫)

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桐谷さんの株主優待生活 (単行本)

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11.現代ポートフォリオ理論

年間リターン: 数パーセント リスク: ★★☆☆☆

全ての値動きに関する予測、個別の会社の成長性予測を諦め、数十年資産を保有する事により利益を出す手法。長期的に見ると、上がったり下がったりしながら、株式なら年間5%、債券で1%程度の利益が生まれる事が過去の統計でわかっている。

現代ポートフォリオ理論では、さらに株式や現金、債券などを上手く組み合わせる事でリスクを減らしつつ、リターンを最大限にしようという手法である。最大限、といっても年間数パーセントのリターンでしかない。

一番初心者向きの手法であるが、非常に理論が難しい。また、著名な投資家というのは存在しない。しかし、この理論を打ち立てた人はノーベル経済学賞を受賞し、年金基金運用の理論的背景となっている、一番お固い投資手法だと思っていただければ良い。

デメリットはいくつかある。まず、市場で資産が一時的な値下がりをしても資産を所有を続けなければいけない点と、数年ではブレ幅が大きいため、リターンを大きくするには数十年保有し続けなければならない点である。

さらに、どこまでいっても年間数パーセントの利益しか得られない。そのため積み立てでも良いので元手が一定量ないと資産増加の効果が薄いところだろう。

そのような事情から年金基金や個人年金401kなどでこの手法が採用される。

全面改訂 ほったらかし投資術 (朝日新書)

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忙しいビジネスマンでも続けられる 毎月5万円で7000万円つくる積立て投資術 (アスカビジネス)

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ここまで、非常に乱暴ではあるが、初心者に理解しやすいよう手法をカテゴライズしてきた。

初心者には、上位の手法がわかりやすかったと思うし、短期でのリターンが大きいためそちらを選びがちだと思う。しかし、下位の取っ付きにくい理論を学んだ際の確実なリターンも十分魅力的だと思う。

私はセミリタイアしているという背景上、一番保守的な11.現代ポートフォリオ理論を今のところ採用している。今後は勉強を重ね、投資の幅を広げていけたらと考えている。

とにかく皆さんには、投資を始める前に全体を見渡し、どの流派に属するかしっかりと検討する事をおすすめしたい。

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