【格差】アメリカの公立学校予算は地元の固定資産税で賄われる

年末に発売されたトマ・ピケティの「21世紀の資本」では、格差の拡大が続く事を指摘され、日本でも格差についての議論が盛んになってきました。

今回は格差先進国アメリカの教育費についての記事です。

Top Image via Ed Yourdon

アメリカの公立学校予算は地元の固定資産税で賄われている

タイトルままなのですが、アメリカの固定資産税は地元の教育費に割り当てられています。ご存知だったでしょうか?

アメリカの固定資産税は州によってことなりますが、不動産時価の2〜3%がProperty Tax=固定資産税として毎年徴収します。

そのうち、半分近くがその地区の公立の小中学校教育費として割り当てられているのです。

これはペンシルベニア州が公開している、公立学校の予算内訳です。

Localが地元の税金、Federal(連邦)とState(州)は交付される税金です。

このグラフではおよそ50%が地元からの税収ですが、ここが地域毎に大きく変動することによって、学校運営に大きな差が現れます。

格差を生み出すスパイラル

税収を地元の固定資産税に頼ると何が起こるでしょうか。米国では政府に教育庁はあるものの、公立学校を運営するための予算・人事・教育方針やカリキュラムが各学区の教育委員会に一任されています。これにより、税収の多い学校は、良い教師、良い施設と設備、先進的なカリキュラムを地元の子供たちに与える事ができます

いっぽう、治安が悪く、地価の低い場所では税収があまりなく、州や連邦による交付金が主な予算財源となります。これにより、教育の格差は広がっていきます。

映画「天使にラブソングを2」でウーピー・ゴールドバーグ演じる「シスター・メアリー・クラレンス」が母校の先生となるシーンがありますが、あの劣悪な教育環境は、純粋な治安のために起こっているわけではないのです。

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とはいえ、教育水準が高い地域は、高所得世帯が好んで移り住んできます。そうすると治安は上昇し、さらに地価があがります。教育もさらに充実する良い循環が発生します。

しかし、所得の低い家庭からすると、高い固定資産税は払えず、その地域を離れるより選択肢がなくなります。そして、環境の良くない学校に自分の子供を通わせる事になります。私立学校の学費は日本のそれよりさらに高く設定されています。

アメリカ国民は、税に対してとても敏感です。それは州や地域など「受益者」が限定された税金の設定方法が多いためです。「なんであいつらの面倒を俺たちが見ないといけないんだ」という考えがスタンダードです。これにはメリットもたくさんありますが、ここまで見てきていただいたように、弊害も生み出します。

日本の教育費は

日本の公立学校の財源は先生の給料や設備など、種類によって財源が異なりますがほぼ100%、国と地方自治体の負担で成り立っています。地方自治体負担分も地方交付金などで賄われる事が多く、地域による差はそれほどりません。

また、2010年より公立高校も授業料が無償化されていることからも、公立学校での教育においては、格差を無くそうという動きのようです。

日本は教育システムという面でも、米国と比べ社会保障が充実しているといっていいでしょう。

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日本は公立学校で貧富の差が無い、よって格差が無いとまとめることは簡単ですが、きりんはそうは思いません。貧困家庭に育った子供たちは、親の教育に関するリテラシーの低さから、税金で用意された環境を十分に活用する事ができません。母子家庭で家事をこなしながら働くお母さんのほとんどが、我が子を学校に送り出す事が精一杯で、勉強の補助や、進路の相談などのフォローがほとんどできないのが実情です。

あなたは教育による貧富の格差、そして税制と受益者、公平についてどう思いますか?

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