私が住んでいる岡山県岡山市はありていに言えば「量産型地方都市」で、その中でも中心部から少し離れた田畑と住宅が入り交じるような所に居を構えている。
その町内会では季節に1度、年4回町内清掃がある。日曜朝7時〜朝8時の1時間、用水路をドブさらいをする。
何らかの理由で参加できない場合、事前申告制で各戸一度につき二千円徴収されることになっている。
季節毎に町内清掃があって参加するか二千円払って不参加か選べる。二人共無職なので参加できるんだけど、嫁は二千円払って不参加を毎回選ぶ。なんでか聞くと「そこで顔見知りになると少ない顔見知りの中から町役員を押し付けられるから」だそうだ。なるほどなあ。
— きりんの自由研究 (@giraffree) October 18, 2015
夫婦共々無職なので、私は「おっしゃ! おっちゃんいっちょ頑張ったるで!」くらいに思っていた。そもそも1時間の町内会労役拒否で罰金2千円は軽い苛立ちを覚える金額設定だ。だけども妻から「参加しないで」と釘をさされた。その理由はこうだ。
町内会の役回りは当番制で回ってくる強制参加組みと、有志による参加で町内会役を毎年割り振っているらしく、町内清掃なんかに参加した日には町内の顔役と顔見知りとなり、有志の町内会役員に半強制的に組み入れられてしまう。もちろん翌年もその話が回ってくる。それを懸念して「参加するな」という事らしい。
私はなるほどなあと強く関心した。たしかに町内会役は無職でもやりたくない。
1回2千円、年間で8千円の町内清掃拒否の罰金は個人的な感触ではかなり高い。回覧板によると「町内清掃の参加者減少のため、罰金を増額せざるを得ない」との事でこの金額設定になったようだ。不足人員分を業者に依頼するのかもしれない。にしても私は無職だし掃除が嫌いではないのでなんだか高いと感じてしまう。
一方で、1年で4回、合計年間8千円(+町内会費)を払えば、町内会に暗に参加しなくて良いというオプションが付与される事を考えると、その金額設定はかなり割安に思えてくる。
私が今住んでいる町内は、昔からある住宅街で一軒家を中心に構成されているが、ここ数年は町内の大きめの土地に集合住宅が建ち始めた。私たち夫婦は、一時的な住まいとしてその新興の集合住宅に入居している。
こうやって集合住宅に一時的に住んでいる住人は、町内会を出来るだけ遠ざけ、元から住んでいる一軒家の住民たちを悩ます種になっているようで、頻繁に町内会マナーについて回覧板が回ってくる。町内会は前述のようにドブさらいに参加しない不届き者に罰金を課す。そして私たちのようにオプション込みで考えたり、仕事で忙しい人々は時間を買う感覚で「意外とお得じゃね?」と不参加を選択する。町内会役は固定されるいっぽうだ。
こうやって既存住民と新興住民の溝は広がり続けている。
土地に根を降ろした原住民と一時的な滞在と捉えている新興住民の町内会ベネフィットみたいなものがまったく違うので、この溝は深まる一方なんだろう。共同の場所の清掃ならともかく、農業用の用水路を集合住宅の住民に清掃させる納得できる理由も見つけづらい。その行き着く先は、集合住宅が増える限り町内会の破たん、もしくは集合住宅を町内会から排除する以外の結果は残されていないように見える。
私たちはあと数年すればその時のライフスタイルに応じた場所に引っ越して行くんだけども、その後の町内会がちょっと心配だ。
最後に、妻の名誉のために言っておくと、彼女は学生時代に取れなかった資格取得のために今現在学校に通っており、私ほどヒマではない。その上で「あなたは町内会にそのうち飽きる、そのあと連帯責任であなたの代わりに私が駆り出されるのが今はとても困る」という事で、ようするに私が悪いようだ。
風邪ひいて3日くらい何もできてない。
— きりんの自由研究 (@giraffree) 2015, 10月 23